第34回日本産婦人科医会性教育指導セミナー全国大会に向けて

貞永産婦人科(大分県大分市) 院長 貞永 明美

 




第34回日本産婦人科医会性教育指導セミナー全国大会が平成23年7月31日?に大分県別府市ビーコンプラザにおいて開催されます。9月の当ネットワークの会議で紹介させていただいたように、大体のプログラムが決定し、「性教育の可能性―つながりを求めて―」をテーマに、特別講演の後、大分県の取り組みをワークショップとして報告します。

ランチョンセミナーは「HPVワクチン発売後…」。午後は性暴力(性犯罪被害)への取り組みをシンポジウムとして、全国よりそれぞれの立場より発表していただきます。


▽「性教育の可能性―つながりを求めて―」

自分を大切に思えない。違いを認め、相手を尊重することができない子ども達が多い中にあって、性教育の意義は大きい。性は人と人の命を受け継ぐ力を持つこと。また対等な関係で人と人を繋ぐ、個人と社会を繋ぐ命の教育、人権教育として大切な役割を担っていると改めて感じています。

現在の様々な状況を認識し、それぞれの立場での活動に性教育がどのように反映されるのか参考になることを願っています。


▽「県民公開講座」避妊教育ネットワーク、大分県産婦人科医会共催

前日、7月30日に同会場(ビーコンプラザ)にて県民公開講座が当ネットワークと共催で行われます。時間的にも枠組み的にも、前回の三重県のセミナー形式のようにはいかず、前回の盛り上がりを考えると申し訳なく思いますが、大分の先生方、全国の先生方に、実際に一般の方々、教育関係の方々に講演される当ネットワークのベテランの先生方のお話は、きっと有意義なものになると信じております。

自分の講演のヒントにされる先生方、OCに今まであまり興味を示さなかった方々に「目からうろこ」となるものと予想され楽しみにしております。全国の先生方のご参加を心よりお待ちしています。


「性教育」への関わり

 私自身、性教育に取り組むようになったのは、やはり毎日の診療の中からです。女性自身があまりにも自分の身体の知識がない、特に性的知識がすっぽり抜けていること、また大切なこと、自分の人生に関わることを自分で決定する人が少ないこと……。どの世代もなので、周囲の大人からも伝えられず、また学校でも、地域でも相談する場もないことをなんとかしなければと思いました。

自分自身も性教育は受けていませんし、医学教育にもなく、日本産婦人科医会報の「性教育指導セミナー」の知らせを見て新潟に初めて行き、基調講演の松本清一先生のお話を聴き、まず知識からだと思いました。難しく考えず、正確な知識を伝えてから、考える力、判断する力を付ける……。これまでの抄録集を集め、参考にし、北村邦夫先生の本にやっとたどり着きました。今でも私の講演の資料の基本です。


女性の健康支援

企業の健康教育講座で講演女性の健康支援が産婦人科の仕事なら、DVの問題にも、性暴力の問題にも関わりがあります。安達知子先生が医会報の「羅針盤」に書かれていたように、「学校保健会」でも子ども達への性犯罪被害の問題が取り上げられていました。「性の商品化」が進み、間違った情報が溢れる中、弱い存在の子ども達、女性達に被害が多大である現状で、識者としての産婦人科医の役割の重要性が問われています。大分でも県警との連携や行政、医師会の協力のもと取り組んでいます。今回のセミナーでより理解と取り組みが深まるのを期待しています。


避妊教育ネットワーク

当ネットワークには安日泰子先生(東京女子医大の元同僚)の紹介で参加しました。大分では誰も聞いてくれない話が溢れ、解放感いっぱいでした。話下手な私は最初少しひるみましたが、懇親会でも一人ひとりの個別の話に共鳴し、内容は素晴らしいもので、毎日でもお会いできたらと思いました。

皆様の熱い思いがさらに熟し、各地にさらに拡がるよう次にバトンタッチします。


【略歴】

大分県出身、昭和52年東京女子医大卒、東京女子医大産婦人科、大分医大産婦人科、大分県立病院産婦人科勤務後、平成4年より現職。大分県産婦人科医会常任理事・女性保健担当。女性と子どもの性と人権を考える市民ネット・NPO法人えばの会理事。大分県男女共同参画審議会委員。