第1回避妊教育ネットワーク主催セミナー三重県で開催

いなべ総合病院産婦人科部長 川村真奈美




三重で性教育セミナー

4月号のリレートーク①で、日本家族計画協会クリニックの北村邦夫所長から予告がありました「日本産婦人科医会性教育指導セミナー全国大会」が、8月1日に三重県津市で開催されました。641人(医師159人、コメディカル・教育関係・NPO関係等436人、学生46人)の参加で大盛況でした。

「すべての若者へのメッセージ~広めよう強めよう、家庭のきずな、社会のきずな」というテーマで、NPO、警察、養護教諭、助産師、医師の立場からシンポジウムが開かれました。三重県はいままで十分にこれらの組織の連携が構築されていませんでしたので、今後の連携のために大いに役立つ会となりました。ランチョンセミナーでは、北村先生の講演「知らないのは愚か、知らせないのは罪~緊急避妊法を御存知ですか?~」もあり、いつものごとく非常に好評を博していました。


ネットワークで初の企画

 写真1 避妊教育ネットワークのセミナー  性教育指導セミナーは日本産婦人科医会の企画ですが、これに便乗した形で前日の7月31日に、われわれ避妊教育ネットワーク初の独自企画セミナー(協賛=OC情報センター)、「今日から役立つ避妊教育」を開催しました(写真1)。

上村茂仁先生が中学生向けの、蓮尾豊先生が高校生向けの、家坂清子先生が成人女性向けの、佐竹紳一郎先生が経産婦向けの避妊教育について、それぞれ15分ずつご講演され、非常に実際的で分かりやすく、内容の濃いセミナーでした。北村先生が書かれていた通り「参加者に驚くほどのインパクトのある会」になりました。

私は三重県では100人も集まらないだろう、と不安でしたが、蓋を開けてみれば、全国から113人の方が集結され、予想を上回る大成功でした。三重県の産婦人科医も多数出席されましたので、避妊教育に力を注ぐ先生方が確実に増え、低迷している三重県の経口避妊薬(OC)普及率も一気に上昇するか?と期待しています。

また、現在メンバーのいない県から参加された産婦人科医の中で、このネットワークに参加する意思を表明された方が数人いらっしゃいました。このセミナーがきっかけで仲間が増え、ますます避妊教育ネットワークが発展する兆しを感じました。うれしいことに、今回の避妊教育ネットワーク主催セミナーの成功を受け、日本産婦人科医会の後援で、毎年このセミナーを性教育指導セミナー前日に行うことが決定しました。来年は大分県で開催されますので、是非ご参加ください。


女性のQOL向上めざす

さて、次に私個人の活動についてお話しします。私が「性教育」に目覚めたのは、小学校5年生のときでした。子どもながらに、自分の受けた学校での初経教育や親の性に対する態度に疑問を感じ、「もっとオープンに体系的に性を教える必要がある」と思ったのがきっかけです。それ以来、性教育に携わりたかったのですが、自分ひとりでは何から始めていいのか、さっぱり分かりませんでした。

写真2 高校での性教育講演縁あって3年前にこの避妊教育ネットワークに参加させていただくことになり、先輩の先生方に知識とノウハウを教えていただき、自分なりに地域で活動を始めました。まずは足元から、病院の職員対象にOCと避妊に関する講演をしました。そして、日ごろの外来診療において親世代が正しい性の知識を持っていないことを痛感していますので、大人対象(PTA、自治会、教職員)に講演を行っています。中高生への性教育講演も少しずつ取り組んでいます。先日は高校生全員960人の講演を体育館で行ってきました(写真2)。

まだまだ未熟ですが、講演に行くたびに確実に手応えを感じています。講演後には、参加者の中から「次は別の団体に講演してほしい」という依頼が舞い込む、といううれしい状態です。これからもネットワークのメンバーに支えられながら、女性のQOL向上のために日々努力していきたいと思っています。


【略歴】

1961年京都市生まれ。昭和62年名古屋市立大学医学部卒業。名古屋市立大学産科婦人科学教室入局後、知多厚生病院、市立四日市病院などの勤務を経て、名古屋市立大学で学位を取得し、平成18年よりいなべ総合病院に勤務し、現在に至る。