目指しているのは等身大のサポーター

ポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ(神奈川県横浜市)清水 なほみ

 

 

 

女性のサポート目指す

クリニック外観 学生のころから「女性をサポートする仕事がしたい」「自分が女性であることを活かした仕事がしたい」と考えており、念願かなって2010年9月に横浜ポートサイドに女性クリニックを開業しました。中学生の頃は「女のくせに生意気だ」と男子生徒からいじめられていたこともあり、自分が女性であることに大きなコンプレックスを抱いていました。大学に入っても、私たちの学年だけ女性が多いことに教授陣が「今年の受験は失敗だ(女性医師が多いと戦力にならない)」とおっしゃっているのを聞いて、「男なんかに負けるもんか」と思っていましたが、あるときふと「肩に力を入れて無理に頑張るより、『あなたでよかった』と言われる仕事をした方がハッピーなんじゃない?」ということに気づいたわけです。以降、私にしかできないことはなんだろうかと模索しながら今のスタイルにたどり着きました。


メンタル面のフォローも

クリニックは婦人科の診療がメインですが、心理カウンセラーと連携してメンタル面のフォローも行えるようにしています。また、私自身が学んできた各種代替医療をご紹介したり、診療の中で「メタファー」と呼ばれるカウンセリングテクニックを活用したりすることもあります。また、「薬以外の治療」を希望される患者様には、サプリメントアドバイザーであるナースからお勧めのサプリを紹介してもらったり、エステティシャンにアロマオイルを調合してもらったりして、できるだけ患者様本人が希望されるサービスを提供できるようにしています。


避妊は女性の手で

思春期バレリーナ向けニュースレター緊急避妊やピルの処方は開業当初から積極的に行っており、緊急避妊は月30件を超えるようになってきました。私自身のピルとの出会いは、実は研修医時代の緊急避妊がきっかけでして、その時「コンドームはなんてあてにならない避妊法なんだ!」という事と、妊娠に対する「恐怖心」は男女でこれほど温度差があるのかという事を痛感した経験から、避妊が必要な患者様には「避妊は女性の手でしっかり行うもの」というスタンスで、少しおせっかいなくらいにお勧めしています。また、私自身ピルでPMSからも月経不順からも解放され、服用をやめてすぐに妊娠できた経験から、ピルの副効用についても「いちピルユーザーとして」お伝えしています。ただ、「治療法は患者様自身に選んでいただく」ことが基本姿勢のため、ピルを無理にお勧めすることはありません。


NPOで10代を支援

10代の性と健康のサポート活動は、研修医の頃からライフワークのひとつとして考えています。卒後4年目に上京してすぐにNPO法人を設立し、携帯サイトとメールマガジンを使って情報提供をしたり、「読めば正しい知識がつく小説」を書いて携帯小説として発信したりしました。性教育講演は釧路市役所とのご縁で遠く北海道からスタートしましたが、現在は横浜市の男女共同参画センターとの協働事業として横浜エリアを中心に地域出前講座を行って回っています。講演の中でも、自分自身の緊急避妊の体験や性に対するコンプレックスなど、いわば「失敗談」を語ることによって、お説教ではなくリアルトークとして受け止めていただけるように配慮しています。2009年の夏休み期間には、トライアルとして渋谷に「ティーンズルーム」を開設しました。無料で相談したりワンコインで検査が行える、いわば街の保健室です。海外の「ウォークインクリニック」の話を聞いて以来、「日本にも同じようなティーンのためのリプロダクティブセンターが必要なはず!」と、ずっと構想をあたためてきたものでした。法律上の問題や資金面の問題など、課題は多く残りましたが、今後はこのティーンズルームを常設化できる方法を探していきたいと考えています。


【略歴】

2001年広島大学医学部卒業。2004年より上京し、2010年9月横浜に「ポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ」を開業。10代の性と健康をサポートするNPOティーンズサポート理事長。日本不妊カウンセリング学会認定カウンセラー